
WordPressが突然サイトが表示されなくなった!



WordPressのデータが消えてしまった!
こんなことがあっても、WordPressのバックアップと復元方法を知っていれば、もしもの時も慌てずに大切なサイトを元に戻すことができます。
サイトのデータ消失や破損は、特別なことではありません。サーバーの障害、誤操作によるデータ削除、WordPressやプラグインのアップデート時の不具合、悪意のあるサイバー攻撃など、その原因は多岐にわたります。
初心者の方だけでなく、ベテランのWeb担当者でも予期せぬトラブルに見舞われることは珍しくありません。だからこそ、万が一に備える準備が非常に重要になります。
この記事では、WordPressサイトを守るために必須となる「バックアップ」と「復元」について、初心者の方でも安心して実践できるよう、分かりやすく徹底的に解説します。
具体的には、様々なバックアップ方法とそのメリット・デメリット、実際にトラブルが起きた際の復元手順、そして二度と同じ過ちを繰り返さないための予防策まで、網羅的にご紹介します。



WordPressのデータ消失に怯えることなく、自信を持ってサイト運営をしましょう!
WordPressバックアップの重要性とは?なぜ今すぐ始めるべきか
「バックアップ」と聞くと、少し面倒に感じるかもしれません。しかし、WordPressサイトを安全に運営していく上で、バックアップは保険のような存在です。
何か問題が起きてから後悔しないためにも、その重要性を理解し、今すぐにでも始めるべき理由を解説します。
1. バックアップが必要な3つの理由:データ損失からサイトを守る
WordPressサイトのバックアップは、単にデータのコピーを取るだけでなく、以下のような重要な役割を果たします。
不測の事態からの復旧 | サーバーの故障、自然災害、人為的なミス(ファイルの誤削除や設定変更の失敗)など、予期せぬトラブルはいつ起こるか分かりません。バックアップがあれば、これらの事態から迅速にサイトを復旧させ、ビジネスや活動への影響を最小限に抑えることができます。 |
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セキュリティリスクへの対応 | WordPressは世界中で広く使われているため、悪意のあるハッキングやマルウェアの標的になりやすい側面もあります。もしサイトが改ざんされたり、完全にアクセスできなくなったりしても、クリーンな状態のバックアップがあれば、安全な状態に復元することが可能です。 |
WordPressのアップデートやカスタマイズの安全確保 | WordPress本体、テーマ、プラグインは定期的にアップデートされます。これらのアップデートは新機能の追加やセキュリティ強化に繋がりますが、稀に既存の機能と競合して不具合が発生することもあります。また、サイトのカスタマイズ中にコードを誤って記述し、サイトが壊れてしまう可能性もゼロではありません。事前にバックアップを取っておけば、何か問題が起きてもすぐに元の状態に戻せるため、安心して作業を進めることができます。 |
2. バックアップがないとどうなる?起こりうる最悪の事態
もしWordPressサイトのバックアップを全く取っていなかった場合、以下のような最悪の事態が起こりえます。
- サイトが完全に消滅し、二度と戻せない: これまで時間と労力をかけて作成した記事、画像、デザイン設定など、すべてのコンテンツが失われ、ゼロから作り直す羽目になります。
- ビジネスや活動の停止・機会損失: ECサイトであれば商品が販売できなくなり、企業サイトであれば顧客からの問い合わせが途絶え、ブログであれば収益が停止します。これにより、多大な経済的損失が発生する可能性があります。
- 信用・信頼の失墜: サイトが長期間停止したり、セキュリティ上の問題で個人情報が漏洩したりすれば、訪問者や顧客からの信頼を大きく損ないます。一度失われた信用を取り戻すのは非常に困難です。
- 復旧に膨大な時間と費用がかかる: もし専門業者に復旧を依頼することになれば、高額な費用がかかるだけでなく、復旧までにかなりの時間を要するでしょう。
これらのリスクを避けるためにも、バックアップはWordPress運営における最も基本的な自己防衛策なのです。
3. WordPressバックアップの頻度とタイミング:最適な頻度で安心を確保
バックアップの頻度は、サイトの更新頻度や重要度によって変わってきますが、一般的には以下のガイドラインを参考にしてください。
更新頻度が高いサイト(毎日記事を投稿するブログ、ECサイトなど) | 毎日1回のバックアップを推奨します。特にECサイトのように、注文情報や会員情報が頻繁に更新される場合は、データ損失が直接的な損害に繋がりやすいため、より頻繁なバックアップが必要です。 |
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更新頻度が中程度のサイト(週に数回更新するサイトなど) | 週に1回のバックアップを目安にしましょう。 |
更新頻度が低いサイト(ほとんど更新しない企業サイトなど) | 月に1回のバックアップでも良いですが、少なくとも何かしらの更新や変更を加えた際にはバックアップを取るようにしましょう。 |
バックアップを取るべき重要なタイミング | |
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WordPress本体のバージョンアップ前 | 大規模な変更が含まれるため、必ずバックアップを取ります。 |
テーマやプラグインのアップデート前 | 相性問題などでサイトが崩れる可能性があるため、バックアップしておくと安心です。 |
新しいテーマやプラグインをインストールする前 | 動作確認のためにも、インストール前にバックアップを取りましょう。 |
サイトの大きな改修やカスタマイズを行う前 | デザインや機能の大幅な変更時には、必ずバックアップを取っておきましょう。 |
自動バックアップ設定を活用すれば、これらのタイミングを逃すことなく、常に最新のバックアップを保持できます。



安心できるサイト運営のためにも、ぜひ今日からバックアップを始めてみてください。
WordPressバックアップの主な方法とそれぞれのメリット・デメリット
WordPressのバックアップには、主に3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身のスキルレベルやサイトの状況に合った方法を選ぶことが大切です。
1. レンタルサーバーのバックアップ機能を利用する
多くのレンタルサーバー会社は、ユーザーがWordPressサイトを簡単にバックアップ・復元できる機能を提供しています。これは最も手軽で初心者におすすめの方法です。
主要レンタルサーバー(Xサーバー、ConoHa WINGなど)でのバックアップ方法 | |
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Xサーバーの場合 | サーバーパネルにログインし、「バックアップ」または「WordPressバックアップ」といった項目から設定します。 通常、ファイルデータとデータベースのそれぞれを個別にダウンロードできる形になっています。自動バックアップ機能も充実しており、過去のデータを任意の時点に戻すことも可能です。 |
ConoHa WINGの場合 | ConoHa WINGの管理画面から、「サイト管理」→「サイト設定」→「自動バックアップ」といった項目で設定します。 こちらもファイルとデータベースの両方が自動でバックアップされ、管理画面から簡単に復元ポイントを選択して戻すことができます。 |
具体的な操作方法は、各レンタルサーバーの公式マニュアルやヘルプページで確認してください。
メリット | 簡単で初心者向け: 管理画面から数クリックで操作でき、専門知識がほとんど不要です。 手間がかからない: 自動バックアップ機能がある場合が多く、一度設定すれば手間なく定期的にバックアップが取られます。 高い信頼性: サーバー側で管理されるため、バックアップの取り忘れや不備のリスクが低く、安定して動作します。 ファイルとデータベースの一括管理: 通常、WordPressに必要なファイルとデータベースの両方をまとめてバックアップ・復元できます。 |
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注意点 | サーバー移転時には使えない場合がある: 異なるレンタルサーバーへサイトを移転する際には、サーバー独自のバックアップデータは使えないことがほとんどです。 バックアップ保持期間の制限: 無料の範囲ではバックアップデータの保持期間や世代数に制限がある場合があります。長期間のデータを保持したい場合は、有料オプションが必要になることがあります。 サーバーダウン時のリスク: 万が一レンタルサーバー自体が大規模な障害に見舞われた場合、バックアップデータもアクセス不能になるリスクがゼロではありません。そのため、他の方法と併用してバックアップデータを分散させることも検討しましょう。 |
2. WordPressプラグインを使ってバックアップする
WordPressのプラグインを利用すると、WordPressの管理画面から直接バックアップを実行・管理できます。
WordPressには、高機能なバックアッププラグインが多数存在します。代表的なものと簡単な使い方は以下の通りです。
おすすめのバックアッププラグイン(UpdraftPlus、BackWPupなど)とその使い方 | |
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UpdraftPlus WordPress Backup Plugin | 世界中で最も利用されているバックアッププラグインの一つ。無料版でも十分な機能があり、ファイルとデータベースのバックアップ、スケジュール設定、Google DriveやDropboxなどのクラウドストレージへの自動アップロードが可能です。 使い方: プラグインをインストール・有効化した後、設定画面から「今すぐバックアップ」をクリックするだけで簡単にバックアップが開始されます。復元も同じ画面から行えます。 |
BackWPup – WordPress Backup Plugin | こちらも人気のあるプラグインで、多機能なバックアップオプションを提供します。FTP、Dropbox、S3などへの自動バックアップに対応しています。 使い方: プラグイン設定で「ジョブ」を作成し、バックアップする対象(ファイル、データベースなど)や保存先、スケジュールなどを細かく設定して実行します。 |
メリット | 手軽でわかりやすい: WordPress管理画面から操作できるため、FTPソフトやデータベースツールに慣れていない初心者でも直感的に扱えます。 自動化しやすい: スケジュール設定機能が充実しており、定期的な自動バックアップが容易です。 多様な保存先: Google Drive、Dropbox、Amazon S3など、様々なクラウドストレージに直接バックアップデータを保存できるため、サーバー負荷軽減やデータ分散に役立ちます。 サイト移転にも対応しやすい: プラグインによっては、簡単にサイトを別のサーバーへ移行できる機能(マイグレーション機能)を備えているものもあります。 |
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注意点 | プラグインの競合や不具合のリスク: 他のプラグインとの相性問題や、プラグイン自体の不具合によって正常に動作しない可能性がゼロではありません。 サイトが完全にアクセス不能な場合は使えない: WordPress自体が起動しない、管理画面にログインできないといった深刻なトラブルが発生した場合、プラグイン経由での復元はできません。 サーバーリソースの消費: 大規模なサイトの場合、プラグインによるバックアップはサーバーに大きな負荷をかけることがあります。 セキュリティリスク: 不審なプラグインはセキュリティホールとなる可能性もあるため、信頼できるプラグインを選ぶ必要があります。 |
3. 手動でWordPressをバックアップする(FTP・phpMyAdmin)
最も確実で、あらゆる状況に対応できるのが手動でのバックアップです。FTPソフトを使ってWordPressのファイルをダウンロードし、phpMyAdminを使ってデータベースをエクスポートします。
FTPクライアントソフトの準備
FileZillaなどのFTPクライアントソフトをパソコンにインストールします。
サーバーに接続
FTPクライアントソフトを使って、レンタルサーバーのFTP情報(ホスト名、ユーザー名、パスワード)を入力し、WordPressがインストールされているディレクトリ(通常はpublic_html
またはhtdocs
など)に接続します。
ファイルをダウンロード
接続先のディレクトリにあるすべてのファイルとフォルダ(wp-admin
、wp-includes
、wp-content
など)を、ローカルPCの任意のフォルダにダウンロードします。wp-content
フォルダにはテーマ、プラグイン、アップロードした画像などが含まれており、特に重要です。
WordPressサイトは大きく分けて「ファイル」と「データベース」で構成されています。まずはファイルをバックアップします。
WordPressの投稿、固定ページ、コメント、ユーザー情報、設定などはすべてデータベースに保存されています。
phpMyAdminへのアクセス
レンタルサーバーのコントロールパネルから「データベース」または「phpMyAdmin」といった項目を探し、phpMyAdminにログインします。ログイン情報はサーバーから提供されているデータベースのユーザー名とパスワードを使います。
データベースの選択
phpMyAdminの左側メニューから、バックアップしたいWordPressのデータベース名を選択します。
エクスポート
上部のメニューから「エクスポート」タブをクリックします。
エクスポート方法の選択
- 「クイック」: ほとんどの場合これで十分です。デフォルト設定のまま「実行」をクリックします。
- 「カスタム」: 特定のテーブルだけをバックアップしたい場合や、詳細な設定を行いたい場合に選択します。通常はすべてのテーブルを選択し、フォーマットは「SQL」のまま「実行」をクリックします。
SQLファイルのダウンロード
指定したSQLファイル(例: データベース名.sql
)がローカルPCにダウンロードされます。
WordPressの投稿、固定ページ、コメント、ユーザー情報、設定などはすべてデータベースに保存されています。
手動バックアップのメリットと、初心者には難しい点 | |
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メリット | 最も確実で安全: サーバーやWordPress本体に依存しないため、あらゆるトラブルからの復元に対応できます。 完全なデータ管理: 自分の手元でデータを管理するため、サーバーの契約状況などに左右されません。 サーバー移転が容易: 手動でバックアップしたデータは、別のサーバーへの移行時に非常に役立ちます。 |
デメリット | 専門知識が必要: FTPやphpMyAdminの操作に慣れていないと、手順が複雑に感じられることがあります。 手間がかかる: 定期的に手動で実行する必要があり、忘れてしまうリスクがあります。 設定ミスによるリスク: 操作を誤ると、データを破損させたり、復元に失敗したりする可能性があります。 |



初心者の方は、まずはレンタルサーバーの機能やプラグインを活用し、慣れてきたら手動バックアップも併用して、より強固なバックアップ体制を築くことをおすすめします。
いざという時に役立つ!WordPress復元の具体的な手順
バックアップが手元にあれば、万が一の時も安心です。ここでは、実際にWordPressサイトをバックアップデータから復元する具体的な手順を、バックアップ方法ごとに解説します。
1. レンタルサーバーの機能で復元する方法
レンタルサーバーのバックアップ機能を利用してバックアップを取っていた場合、復元も管理画面から簡単に行えます。
多くのレンタルサーバーでは、バックアップ機能と同様に、コントロールパネルから復元操作が可能です。
ご利用のレンタルサーバー(Xサーバー、ConoHa WINGなど)のコントロールパネルにアクセスし、ログインします。
通常、「バックアップ」「WordPressバックアップ」「データ復旧」といったメニューがあります。
バックアップデータが複数ある場合、復元したい日付や時刻のデータを選択します。トラブルが発生する前の、正常に動作していた時点のデータを選びましょう。
「復元」「リストア」といったボタンをクリックします。サーバーによっては、ファイルとデータベースを個別に復元するか、両方を一括で復元するか選べることがあります。
復元には数分から数十分かかる場合があります。サーバーからの完了通知を待つか、管理画面の表示を確認してください。
復元が完了したら、必ずWordPressサイトにアクセスし、管理画面へのログイン、ページ表示、機能などが正常に動作するかを確認しましょう。
復元時の注意点と確認事項
- 復元されるのは選択した時点のデータ: 復元を実行すると、選択したバックアップ時点以降に作成・更新されたデータはすべて失われます。この点を十分に理解した上で実行しましょう。
- ファイルとデータベースの整合性: 通常、レンタルサーバーの機能ではファイルとデータベースが同期して復元されるため、整合性の問題は起きにくいですが、念のため確認は必要です。
- DNSキャッシュのクリア: 復元後、すぐにサイトにアクセスできない場合は、PCやブラウザのDNSキャッシュが原因の可能性があります。一時的に時間をおくか、別のブラウザやデバイスで確認してみましょう。
- SSL証明書の再設定(稀に): ごく稀に、復元後にSSL証明書の設定が必要になる場合があります。その際はサーバーのマニュアルを参照してください。
2. バックアッププラグインで復元する方法
UpdraftPlusやBackWPupなどのバックアッププラグインでバックアップを取っていた場合、WordPressの管理画面から復元を行うことができます。ただし、WordPress管理画面にアクセスできる状態であることが前提となります。
ここでは、代表的なUpdraftPlusを例に解説します。
WordPress管理画面にログイン
サイトにログインし、左メニューから「設定」→「UpdraftPlus Backups」へ進みます。
既存のバックアップを表示
「既存のバックアップ」タブを開くと、これまでに作成したバックアップの一覧が表示されます。
復元したいバックアップを選択
復元したい日付のバックアップを見つけ、「復元」ボタンをクリックします。
復元するコンポーネントを選択
「復元するコンポーネントを選択してください」という画面が表示されます。通常は、「プラグイン」「テーマ」「アップロード」「その他」「データベース」の全てにチェックを入れて復元します。
復元を実行
「復元」ボタンをクリックすると、復元処理が開始されます。バックアップデータのサイズによっては時間がかかります。
復元完了後の確認
復元が完了すると、完了メッセージが表示されます。その後、WordPressサイトのフロントエンドとバックエンド(管理画面)にアクセスし、サイトが正常に表示され、機能しているか確認します。
古いプラグイン/テーマフォルダの削除(UpdraftPlusの場合)
復元後、UpdraftPlusは古いプラグインやテーマのフォルダを自動で作成することがあります。これは復元が成功したことを確認した後に削除しても問題ありません。
復元時のトラブルシューティングとよくある問題 | |
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管理画面にアクセスできない場合 | プラグインでの復元は管理画面にアクセスできることが前提です。もしアクセスできない場合は、レンタルサーバーの機能での復元を試すか、手動での復元(後述)が必要になります。 または、FTPでUpdraftPlusなどのプラグインファイルを直接アップロードし、 wp-config.php ファイルを編集して強制的にプラグインを有効化することで復元を試みる方法もありますが、これは上級者向けです。 |
「復元に失敗しました」と表示される | バックアップデータが破損している、サーバーのタイムアウト設定が短い、PHPメモリが不足しているなどの原因が考えられます。 サーバーのPHP設定(memory_limit, max_execution_timeなど)を確認し、必要であれば値を上げてから再度試してみてください。 |
画像が表示されない、リンク切れ | データベースとファイルの整合性が取れていない可能性があります。ファイルとデータベースの両方が正しく復元されているか確認しましょう。 WordPressアドレス(URL)やサイトアドレス(URL)が間違っている可能性も考えられます。WordPress管理画面の「設定」→「一般」で確認します。 |
3. 手動でWordPressを復元する方法(FTP・phpMyAdmin)
手動でバックアップを取っていた場合、またはレンタルサーバーの機能やプラグインで復元できない深刻なトラブルの場合には、手動での復元が必要になります。
これは最も確実な方法ですが、FTPやphpMyAdminの操作に慣れている必要があります。
復元対象のWordPressがインストールされているサーバー上の既存ファイルを全て削除します。ただし、wp-config.php
ファイルだけは残しておきましょう(データベース接続情報が含まれているため)。もし削除してしまう場合は、手元にwp-config.php
のバックアップがあることを確認してください。
FileZillaなどのFTPクライアントソフトを起動し、レンタルサーバーに接続します。
ローカルPCに保存してあるバックアップファイル(wp-admin
、wp-includes
、wp-content
などのフォルダとWordPress本体のファイル群)を、WordPressがインストールされていたディレクトリ(例: public_html
)に全てアップロードします。
ファイル数が多い場合、アップロードには時間がかかります。完了するまで待ちましょう。
次に、バックアップしたデータベース(.sqlファイル)をphpMyAdminにインポートします。
レンタルサーバーのコントロールパネルからphpMyAdminにログインします。
現在のWordPressが使用しているデータベースを選択し、「操作」タブから「データベースを削除」を実行します。この操作は元に戻せないので慎重に行ってください。 もし既存のデータベースを残しておきたい場合は、新しいデータベースを作成してそこにインポートすることも可能ですが、その場合はwp-config.php
のデータベース情報を新しいものに書き換える必要があります。
データベースを削除した場合は、再度データベースを作成するか、または既存の空のデータベースを選択します。
上部のメニューから「インポート」タブをクリックします。
「ファイルを選択」ボタンをクリックし、ローカルPCに保存してあるバックアップしたSQLファイル(例: データベース名.sql
)を選択します。
「実行」ボタンをクリックします。インポートには時間がかかることがあります。
成功メッセージが表示されたらインポート完了です。
WordPressサイトにアクセスし、管理画面へのログイン、ページの表示、機能などが正常に動作するか確認します。
次に、バックアップしたデータベース(.sqlファイル)をphpMyAdminにインポートします。
手動復元の難しい点と、専門知識が必要な理由
手動復元は最も確実な方法ですが、以下の点で初心者にはハードルが高いと感じられることがあります。
- FTPやphpMyAdminの専門知識: これらのツールやデータベースの仕組みに関する基本的な理解が必要です。
- 正確な手順の踏襲: 一つでも手順を間違えると、サイトが正常に動作しなくなる可能性があります。
- エラー発生時の対処: エラーメッセージの意味を理解し、原因を特定して対処する能力が求められます。
- wp-config.phpファイルの編集: データベースのユーザー名やパスワード、ホスト名などが変更になった場合、このファイルを正確に編集する知識が必要です。



もし手動での復元が難しいと感じたら、無理をせず、まずはレンタルサーバーのサポートに相談するか、専門の業者に依頼することを検討しましょう。
WordPress復元作業を行う上での注意点と失敗しないためのポイント
WordPressの復元作業は、サイトを元の状態に戻すための重要な工程です。しかし、手順を誤るとかえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。ここでは、復元作業を成功させるための注意点とポイントを詳しく解説します。
1. 復元前に必ず確認すべきこと:事前の準備が成功の鍵
復元作業に取り掛かる前に、以下の項目を必ず確認し、準備を整えておくことが成功への鍵となります。
確認すべきこと | 内容 |
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復元するバックアップデータの確認 | 最も新しい、かつ正常な状態のバックアップデータを選びましょう。トラブル発生”前”のデータが理想です。 バックアップデータがファイルとデータベースの両方揃っているか確認してください。片方だけでは正常に復元できません。 バックアップデータが破損していないか、可能であれば事前に内容を確認(SQLファイルをテキストエディタで開くなど)しておくと安心です。 |
レンタルサーバーの情報確認 | FTP接続情報(ホスト名、ユーザー名、パスワード) データベース接続情報(データベース名、ユーザー名、パスワード、ホスト名) これらの情報は、手動で復元する場合や、プラグイン復元時にトラブルが発生した場合に必要になります。 |
現在のWordPress環境の把握 | WordPressのバージョン、使用しているテーマ名、プラグインのリストなどをメモしておくと、復元後の確認作業に役立ちます。 |
作業環境の準備 | 安定したインターネット環境を確保しましょう。 FTPクライアントソフト(FileZillaなど)や、必要であればテキストエディタ(Visual Studio Codeなど)を準備しておきます。 |
冷静な判断と無理をしないこと | トラブル発生時は焦りがちですが、落ち着いて一つずつ手順を確認しながら進めましょう。 少しでも不安を感じたら、無理せずレンタルサーバーのサポートや専門家への相談を検討してください。 |
2. 復元中にエラーが発生した場合の対処法
復元作業中に予期せぬエラーが発生することもあります。落ち着いて原因を特定し、対処しましょう。
エラーメッセージを確認する | phpMyAdminでのインポートエラー、FTPでの転送エラー、WordPressのエラー画面(「致命的なエラー」「データベース接続確立エラー」など)など、表示されるメッセージを正確に記録します。エラーメッセージは原因究明の手がかりになります。 |
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サーバーのPHP設定を確認する | ファイルサイズが大きい場合や、処理に時間がかかる場合に、PHPのメモリ制限(memory_limit )や実行時間制限(max_execution_time )が不足してエラーになることがあります。レンタルサーバーのコントロールパネルからこれらの値を一時的に引き上げてみましょう。 |
ファイル転送のエラー | FTPでのファイルアップロード中に止まる、転送失敗となる場合は、インターネット接続の不安定さや、サーバー側の容量不足が考えられます。回線状況を確認したり、サーバーのディスク使用量を確認してみましょう。 |
データベース接続エラー | 「データベース接続確立エラー」が表示される場合、wp-config.php に記述されているデータベース名、ユーザー名、パスワード、ホスト名が間違っている可能性があります。レンタルサーバーの情報を確認し、wp-config.php の内容と照合してください。 |
段階的に復元を試す | もしファイルとデータベースの一括復元がうまくいかない場合、ファイルのみ、データベースのみといった形で段階的に復元を試すことも有効です。 |
サーバーログの確認 | レンタルサーバーのコントロールパネルから提供されるサーバーログ(エラーログなど)を確認すると、詳細なエラー情報が見つかることがあります。 |
それでも解決しない場合 | エラーメッセージを添えて、レンタルサーバーのサポートに問い合わせましょう。状況によっては、サーバー側で対応してもらえることがあります。 |
WordPressサイトのURL(アドレス)を変更したり、ドメインを移行したりした後にバックアップから復元する場合、いくつか特別な注意が必要です。
サイトURL変更やドメイン移行時の復元について | |
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データベース内のURLの書き換え | WordPressはデータベース内にサイトのURL情報を保持しています。単にバックアップを復元しただけでは、古いURLのままサイトが表示されない、リンク切れが発生するといった問題が起こります。 復元後、以下のいずれかの方法でデータベース内のURLを新しいものに書き換える必要があります。 Search Replace DBスクリプト: これは開発者向けのツールですが、最も確実で高速にURLを書き換えることができます。 プラグインの利用: 「Better Search Replace」などのプラグインを使うと、WordPress管理画面からデータベース内の文字列を一括置換できます(ただし、管理画面にアクセスできる必要があります)。 SQLクエリの手動実行: phpMyAdminからSQLクエリ( UPDATE wp_options SET option_value = replace(option_value, '旧URL', '新URL') WHERE option_name = 'home' OR option_name = 'siteurl'; など)を実行して書き換える方法もありますが、専門知識が必要です。 |
wp-config.phpでのURL指定 | 一時的にwp-config.php ファイルにdefine('WP_HOME','https://新しいドメイン'); とdefine('WP_SITEURL','https://新しいドメイン'); を追記することで、強制的にURLを指定し、管理画面にアクセスできるようになる場合があります。 |
サーバー側の設定確認 | ドメイン移行の場合、新しいドメインがレンタルサーバーに正しく設定され、WordPressのディレクトリに紐付けられているか確認してください。 DNSレコードが正しく設定され、新しいドメインが新しいサーバーを指しているかも重要です。 |
4. 復元後の最終チェックリスト:サイトが正常に稼働しているか確認
復元が完了したと思っても、すぐに安心せず、以下の項目を一つずつ丁寧にチェックしましょう。
WordPress管理画面へのログイン | ユーザー名とパスワードで管理画面に正常にログインできるか確認します。 |
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サイトのフロントエンド(表側)の表示 | トップページが正しく表示されるか。 主要なページや投稿にアクセスできるか。 デザインが崩れていないか。 画像や動画などのメディアファイルが正しく表示されるか。 |
リンク切れの確認 | サイト内のメニューリンク、記事内のリンクなどが正しく機能するか確認します。 |
フォームやコメント機能の動作 | お問い合わせフォームやコメント投稿機能が正常に動作するかテストします。 |
プラグインとテーマの動作 | インストールされていた全てのプラグインが有効化されており、正常に機能しているか確認します。 使用しているテーマのカスタマイズが反映されているか確認します。 |
パーマリンク設定の再保存 | 稀に復元後にパーマリンクがおかしくなることがあります。管理画面の「設定」→「パーマリンク」を開き、何も変更せず「変更を保存」ボタンをクリックすることで修正される場合があります。 |
SEOへの影響確認 | GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールで、復元後にトラフィックやインデックス状況に大きな変化がないか確認します。 |



これらのチェックをクリアできれば、あなたのWordPressサイトは無事に復活し、データ消失への不安からも解放されるでしょう。
将来のデータ消失を防ぐ!効果的なバックアップ戦略
WordPressサイトの復元方法を理解したら、次に重要なのは将来的なデータ消失を未然に防ぐための「効果的なバックアップ戦略」を立てることです。単にバックアップを取るだけでなく、それを維持し、活用するための習慣を身につけましょう。
1. 定期的なバックアップの習慣化と自動化
バックアップは一度取れば終わりではありません。サイトが更新されるたびにデータは変化するため、常に最新の状態でバックアップを保持しておく必要があります。
バックアップの自動化を最優先する | 手動でのバックアップは手間がかかり、忘れがちです。レンタルサーバーの自動バックアップ機能や、UpdraftPlusなどのバックアッププラグインのスケジュール機能を利用し、自動的にバックアップが実行されるように設定しましょう。 これにより、設定さえしてしまえば、あとはシステムが自動で大切なデータを守ってくれます。 |
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バックアップ頻度の見直し | 前述の通り、サイトの更新頻度に合わせてバックアップの頻度を調整します。毎日更新するブログやECサイトであれば毎日、週に数回更新するサイトであれば週に1回など、データ損失の影響が最小限になる頻度を設定しましょう。 |
バックアップ世代の管理 | 直近のバックアップだけでなく、過去数日、数週間、あるいは数ヶ月分のバックアップを保持しておく「世代管理」を意識しましょう。これにより、特定の時点に戻りたい場合や、最新のバックアップに問題があった場合でも、別の正常なバックアップから復元できるようになります。自動バックアップ機能やプラグインには、この世代数を設定できるものが多いです。 |
2. バックアップデータの保管場所:ローカルとクラウドの併用
バックアップデータは、万が一の事態に備えて安全な場所に複数保管することが重要です。一つの場所にだけ保管していると、その保管場所自体がトラブルに見舞われた際に、すべてのデータを失うリスクがあります。
「3-2-1ルール」を参考に | 3: データのコピーを3つ持つ(オリジナル+2つのバックアップ)。 2: 異なる2種類のメディアに保存する(例:サーバー内と外部ストレージ)。 1: そのうち1つはオフサイト(物理的に離れた場所)に保存する。 このルールは、一般的なデータバックアップの原則であり、WordPressにも適用できます。 |
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具体的な保管場所の例 | サーバー内(レンタルサーバーのバックアップ機能): 最も手軽ですが、サーバー自体に問題が発生するとアクセスできません。 ローカルPC: バックアップデータをダウンロードして自分のPCに保存します。ネットワークがない環境でもアクセスできますが、PCの故障や紛失のリスクがあります。 クラウドストレージ(Google Drive, Dropbox, Amazon S3など): インターネット経由でアクセスでき、物理的な障害のリスクが低いのが特徴です。プラグインと連携して自動アップロードできるため非常に便利です。 外付けHDD/SSD: 大容量のデータを安価に保存できますが、物理的な管理が必要です。 |
データ分散の重要性 | 例えば、「レンタルサーバーの自動バックアップ」と「UpdraftPlusでGoogle Driveに自動アップロード」、さらに「月に一度ローカルPCに手動ダウンロード」といったように、複数の方法と場所に分散して保管することで、データ消失のリスクを大幅に軽減できます。 |
3. バックアップが正しく取れているか定期的にテストする方法
バックアップを取るだけでは不十分です。実際に復元できるかどうかを定期的にテストすることで、いざという時に「バックアップが壊れていた!」という最悪の事態を防ぐことができます。
テスト環境の準備 | 本番サイトとは別に、テスト用のWordPress環境(サブドメインやローカル環境など)を用意します。本番サイトに影響を与えないよう、必ず別の環境でテストしましょう。 |
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テスト復元の実行 | 実際にバックアップデータをテスト環境に復元してみます。ファイルとデータベースの両方が正常に復元され、サイトが問題なく動作するかを確認します。 |
確認すべきポイント | 管理画面へのログイン トップページや主要ページの表示 画像やメディアファイルの表示 フォームやリンクの動作 プラグインやテーマの機能 |
テスト頻度 | 年に1回程度、またはWordPressのメジャーアップデート後など、大きな環境変化があった後に実施すると良いでしょう。面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が万が一の大きなトラブルを回避します。 |
4. WordPressのセキュリティ対策も忘れずに:バックアップと復元だけでは不十分な理由
バックアップと復元は非常に重要ですが、これだけではWordPressサイトを完全に守ることはできません。データ消失の原因となる「セキュリティ上の脅威」への対策も同時に行う必要があります。
脆弱性を突かれるリスク | WordPress本体、テーマ、プラグインには、定期的にセキュリティ上の脆弱性が発見されます。これらを放置していると、ハッキングやマルウェア感染のリスクが高まります。 |
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主なセキュリティ対策 | WordPress本体・テーマ・プラグインの定期的な更新: 常に最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を塞ぐことができます。 強力なパスワードの使用: 推測されにくい複雑なパスワードを設定し、定期的に変更しましょう。 Two-Factor Authentication(二段階認証)の導入: ログイン時のセキュリティを強化します。 不要なテーマ・プラグインの削除: 使っていないものは削除し、攻撃対象となる可能性を減らします。 WAF(Web Application Firewall)の導入: レンタルサーバーによっては標準で提供されており、外部からの不正アクセスを防ぐ壁となります。 セキュリティプラグインの利用: Wordfence SecurityやSiteGuard WP Pluginなどのセキュリティプラグインを導入し、不正ログイン防止やファイル改ざん検知などの対策を行います。 定期的なマルウェアスキャン: サイトにマルウェアが潜んでいないか定期的にチェックしましょう。 |



バックアップと復元、そして適切なセキュリティ対策を組み合わせることで、あなたのWordPressサイトはより強固なものとなり、安心してWeb活動を続けることができます。
まとめ:WordPressのバックアップと復元をマスターして安心運用へ
WordPressサイトの運用は、情報発信やビジネスの基盤として非常に重要です。しかし、予期せぬトラブルによるデータ消失のリスクは常に存在します。
この記事では、「WordPress バックアップ 復元」というキーワードを通じて、サイト運営者が抱えるデータ消失への不安を解消し、安心してサイトを運用するための具体的な知識と手順を解説してきました。
- バックアップはサイト運営の保険: サーバー障害、誤操作、サイバー攻撃など、どんなトラブルからでも大切なデータを守る唯一の手段です。
- バックアップ方法は3種類:
- レンタルサーバーの機能: 初心者でも簡単で確実。
- WordPressプラグイン: 自動化しやすく、クラウド連携も可能。
- 手動(FTP・phpMyAdmin): 最も確実で、あらゆる状況に対応できる上級者向け。
- 復元手順はバックアップ方法に合わせる: バックアップを取った方法によって復元の手順も異なりますが、基本的には管理画面やコントロールパネルから実行できます。
- 復元前の確認と事後チェックが重要: バックアップデータの確認、サーバー情報の把握、そして復元後のサイト全体と機能の動作確認は、トラブルなく復旧させるために欠かせません。
- バックアップ戦略で将来に備える: 定期的な自動バックアップ、複数の場所へのデータ分散(ローカルPC、クラウド)、そして年に一度の復元テストを習慣化しましょう。
WordPressのバックアップと復元を正しく理解し実践することで、データ消失の不安から解放され、安心してウェブサイト運営に集中できるようになります。